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【セロー250】 強制開閉キャブレターにカスタムでパワーアップ!VM26/PWK28

2021年9月26日

セロー250 VM26取り付け
VM26を装着!

はじめに

セロー250パワーアップ大作戦の第二弾のキャブレター編となります。
(第一弾の記事は、こちら!!)
キャブ式のセロー250に乗っている方!純正キャブのマッタリとした吹け上がりに不満を感じていないでしょうか?
セロー225にPWK28を装着してパワーアップさせる情報は山のように出てくるのですが、
セロー250(DG11J)に関するネット上の情報がかなり少ないのです(何せ2005年~2007年の3年間だけのモデルですからね)。

色々と調べたところ、TTR250RのY30Pが流用出来るという情報を見つけましたが、
TT250Rも古いバイクで部品もあまり無く、中古のキャブレターでは信頼性も劣り、
セッティングパーツの供給状況も不明で二の足を踏んでしまう状況でした(というか買おうにも買えない)。

なので、2021年現在でも新品で購入できるPWK28とVM26について、私が人柱になって試してみました。
キャブレター以外の材料費はだいたい3~6000円程度でしょうか。自前の道具があればさほど掛かりません。
※DIY満載の装着方法となります!真似される方は自己責任でお願いいたします。

キャブ式セロー250と、インジェクションのセローについて

2020年にセローのファイナルエディションが発売されましたね。
そんな中、我が家が2019年に購入したのは、2005年式のセロー250の初期型(DG11J)です。
2005年から2007年の間しか発売されていない、セローの中でもマイナーな年式です。

インジェクションのバイクはいつでも安定して走れますが、チューニングの幅が狭く、
あまり大幅なパワーアップが狙えないため、あえて旧式のセローを購入しました。

XT660テネレにパワーコマンダー5を導入してチューニングした経験もありますが、
キャブレターのジェットやニードルを交換する程度のチューニング幅しか無く、
負圧式キャブからレーシングキャブレターに替えたときのような
劇的なスロットルレスポンスの向上などの変化は感じられませんでした。
(パソコンと接続して出先で簡単に調整できるのは良いんですけどね・・・)

カスタマイズのコストパフォーマンスとしてはあまり良くなく、
それ以来インジェクションのチューニングには手を出していません。

取り付けキャブレターの選定(PWK28 vs VM26 両方試しました)

セローは万人のライダーでも扱いやすく(また、燃費効率も改善する)するために、
穏やかなスロットルレスポンスが特徴の負圧式CVキャブレターを採用しています。

実は私、この負圧式キャブレターのフィーリングが大の苦手です。
グワッとアクセルを開けてから、ワンテンポ遅れて「ぅぶ~~~~ん」と加速していく感じがダメなんです。
アクセルを開けたら素早くレスポンスが返ってきてほしいのです。

そこで出番なのが、スロットルの開け閉めがダイレクトに反映される強制開閉式のキャブレターの出番となります。
今まで乗り継いだバイクの中で、負圧式キャブから強制開閉キャブレターに換装したのは以下の5台です。
いずれのバイクも驚くほどレスポンスが向上してライディングが楽しくなりました。
特にハーレーの蹴っ飛ばされるような加速や、モッサリ加速のGN125が
アドレス125並みの加速になったのは楽しかったですね。

ハーレーダビッドソン ダイナ(FXDX)→ミクニHSR42
スズキ DR650SE → ミクニTM40
ホンダ GB500TT → FCR39
スズキ GN125 → PWK28
カワサキ KDX125SR → PWK28(純正も強制開閉ですが、円筒バルブからフラットバルブに…)

このキャブレター換装なんですが、車種別の専用パーツが無い場合は色々と工夫して取り付けなくてはなりません。
PWK28はセロー225のカスタムで定番だったのと、VM26は1986年まで旧セロー225の
純正キャブレターとして採用されていたものなので、相性が良い事が期待できることから二種類試してみました。

結論から言うと、どちらのキャブレターもセロー250への取り付けは可能でした。
扱いやすさよりパワーを重視したいならPWK28、パワーより扱いやすさを重視したいならVM26がお勧めです。

PWK28は元々2スト用のキャブなので、負圧の強い4ストではアイドリング領域のセッティングが完璧には出ません。
こちらのブログのセロー225に装着した記事などを参考にしてアイドルポートを塞いだりしましたが、やはり使いづらい。

アクセル全閉の時から、ほんのちょっとだけアクセルを開け始めたあたり
(スロットルケーブルの遊びが完全に取れて、スロットルバルブが動き始めた瞬間くらい)のところで、
どうしても谷間が出来てしまい、慣れないと結構な確率でエンストします。

我が家のセローは基本的に嫁さん用のマシンなので、
慣れずにエンストして転んだりすると目も当てられないので、PWK28は辞めてVM26に付け替えました。
こちらは元々4スト用のキャブレターなので、相性的には何の問題もありません。
VM26でも、純正に比べればレスポンスは相当上がります。

VM26はキタコとタケガワからリリースされていますが、
タケガワの方がセッティングが出やすい?というその他のブログ情報を参考にして、タケガワを選びました。
結果、問題なく使えています。
激安のコピー品も数多く見かけますが、セッティングが出ない場合の
原因追及が迷宮入りすると膨大な作業時間を浪費してしまい、
パーツ代の差額以上に時間の損失が出るのが勿体ないので、安心のメーカー製を選択しました。

セッティングはメインジェットだけ190→180番に変更して、他は購入時のままです。
PJ22.5、ジェットニードル 5E75の上から3段目、スロットルバルブカッタウェイ#1.5
このセッティングで問題なく一年中使っています。
燃費は、VM26を装着してから約8000km走って50回給油し、平均が27km/lです。
純粋な街乗りは少なく、都内から高速50~100キロくらい乗って日帰りツーリングするような使い方が多いです。

PWK28の方が「おおおっ?!」ってなるくらい加速して楽しいのですが、(語彙力…)
低速セッティングがどうしてもネックですね。アイドリングをかなり高くするなどで誤魔化すことも出来なくはないです。
ほかのキャブレターの候補としてはTM28などもあるのですが、
スロットルボティが大きそうなのと、VM26である程度満足したので、試してはいません。
VM26は円筒バルブですが、フラットバルブの方がレスポンスはより良いんですよねぇ。
どなたか試してみてください笑

ちなみに、PWK28をAmazonで探すと謎の激安コピー品だらけがヒットしてどれを買ったらよく分からない状況になると思われます。
こちらのカワサキ純正部品なら、怪しくないものが割と安く買えますよ。

で、VM26をどうやってセローに取り付けるのよ?

まずは方針。エアクリーナーボックスはどうする?

はい、ここからが大変です。車種専用ではない汎用キャブレターの取り付け方法となります。
一度覚えれば色んな車種に応用が効きます。

「おれはエアクリーボックスなんていらねぇんだ。キノコ型のエアクリーナーをむき出しで走ってやるんだ」っていう方は、
多少楽はできます。スロットルケーブルの加工と、インテークマニホールドの入れ替えだけで取り付けは出来るので、
半日も掛からずに取り付けられるでしょう。

ですが、やはりセローは訳の分からない水たまりとかも走ったりするので、
なるべくエアクリーナーボックスは外したくない。
あと、エアクリーナーボックスを付けていないとなんか「素人感」が出るような気がするので
(偏見でしょうか?笑 2000年代初頭のスカチューンしていた人たちを思い出してしまって…) 
やはりエアクリーナーボックスとキャブレターはちゃんと接続したいのです。
排気脈動とか、充填効率とか、色々あるんです。
こちらのブログの記事とか分かりやすいですよ。

ということで、エアクリーナーボックスを残すこととします。
必要な作業は以下の通りです。

  • スロットルケーブルタイコ加工
  • インテークマニホールドの加工と取り付け
  • インテークパイプの作成と取り付け

スロットルケーブルのタイコ加工

セロー250 VM26取り付け アクセルワイヤー加工
純正のタイコは切り捨てて、最終的にスロットルバルブのこの部分を通せるように加工します。
セロー250 VM26取り付けアクセルワイヤー加工
ホームセンター等で売っている真鍮パイプ短くカットしたものと、
スロットルワイヤーをステンレスはんだでくっつけます。
セロー250 VM26取り付けアクセルワイヤー加工
ワイヤー吐出長の目安は72mm
(片手で撮影して写真がうまく撮れませんが、だいたい72mm程度です笑)
PWK28の場合は、この吐出長ではうまく行きません(すいません、記録とっていないです…)。
セロー250 VM26取り付けアクセルワイヤー加工
アクセルワイヤーは引き側だけ残せばOKです。VM26は戻し側はありません。残しておいても悪さはしませんが…。

真鍮パイプとワイヤーを、ステンレスはんだでくっつけます 。真鍮パイプは外径3mmのものを使います。
ホームセンターの素材コーナーなどで良く売っています。金のこなどで簡単に切断できます。バリは精密ヤスリなどで取り除きましょう。

ステンレスはんだを付ける前には、ステンレスフラックスで下処理をしないとくっつきません。
加工に失敗した場合は、インナーワイヤーの補修パーツだけでも購入できるので、
どうにかリカバリーする手段はあるので大丈夫です。純正のスロットルワイヤを予備として買っても良いですね。

詳しいはんだ付けの手順は、こちらのブログなども分かりやすいですよ。
同じ方法でくっつけましたが、過去数万キロ使って取れたことなどありません。
材料費ははんだごて含めて¥3,000もあれば足りそうですね。

インテークマニホールドの加工と取り付け

セロー250 VM26取り付け インテークマニホールド加工
キジマのk507-602の取り付け穴を拡大加工し、さらに液体ガスケットで二次エア防止
(穴を拡大した時の写真はありません…ステップドリル1~2段分拡大しています)
セロー250 VM26取り付け インテークマニホールド加工
反対側から。平ワッシャーも一緒に締めています。

純正のマニホールドだとキャブレターと径が合わず取り付けが出来ません。
TWやセロー225の純正マニホールドも試しましたが、キャブレターが明後日の方向を向いてしまい、
エアクリーナーボックスを生かすことが出来ません。
キジマのk507-602が最も少ない加工でエアクリーナーボックスを生かして装着できました。
マニホールドの加工は、取り付けピッチがそのままでは狭くて合わないので
ステップドリルなどで取り付け穴を拡大する必要があります。
平ワッシャーと液体ガスケットを併用すれば、二次エアを吸うこともなく取り付け可能でした。

インテークパイプの作成と取り付け

セロー250 VM26取り付け インテークパイプ作成
このキャブレターとエアクリーナーボックスの間のスキマをどうにかしなければならない!!

ここまででインテークマニホールドとキャブレターはめでたく装着できたので
一応エンジンは掛けられる状態になりました。
このままでは直キャブでゴミ吸い放題なので、
何とかしてキャブレターとエアクリーナーボックスの1cmくらいのスキマをつながなくてはなりません。
ここで登場するのが、以下のアイテムたちになります。
パイプカッターは¥2,000以上しますが、ハンドルパイプも単管もマフラーパーツもキレイに切断できるので、DIY派にはお勧めの工具です。
シリコンシーラントはお風呂の目地とかで使うやつです。1mmくらいのスキマを埋めたいときに何かと役に立ちます。

ベースは、KN企画の汎用のラバージョイントダクトを適当な長さにカットしたものです。
ラバージョイントの外側に、外径Φ50.8mm、厚さ1.2mmの汎用パイプがジャストフィットするので、
1cmくらいの長さを切り出して、装着します。
これを装着することで、エアクリーナー側のバンドをしっかりと締め付けられるようになります。
あとは、ラバージョイントとパイプの間をシリコンシーラントで埋めてしまいます。

セロー250 VM26取り付け インテークパイプ作成
ラバージョイント+パイプ1cmをシリコンシーラントで接着
セロー250 VM26取り付け インテークパイプ作成
パイプの切り出しは、パイプカッターなら簡単です。
セロー250 VM26取り付け インテークパイプ作成
こんな感じでラバージョイントの外側に短く切ったパイプを被せて接着しただけです。8000km以上問題なく使えています。
セロー250 VM26取り付け インテークパイプ作成
こんな感じで、エアクリーナー側のクチに装着できます!
セロー250 VM26取り付け インテークパイプ作成
エアクリーナー側の装着イメージ これでバンドをしっかり締められます。

完成!

セロー250 VM26取り付け
若干エアクリーナー側が斜めになりました笑

お疲れ様でした!!ここまでの加工を経てようやく車体に装着できました。
少し斜めになっていますが、ラバーの可動範囲くらいにどうにか収まりました。

上の方にも記載しましたが、私のセッティングはタケガワVM26でMJ180、PJ22.5、ジェットニードル3段目です。
マフラーはFMFのパワーボム、エアクリーナーはDNA ハイパフォーマンスフィルターです。
キャブレター以外の情報は、パワーアップ大作戦第一弾に詳しく記載しました。

ここまでやると、セローの性格もかなり変わって開けるのが楽しくなります!
燃費もリッター27kmくらいなので、そこまで悪くなっていないかなと思います。

汎用キャブレターの装着のリスクについて

VM26はどうもオーバーフローしやすいようです。
エンジンオフにしたときは、FUELコックをOFFにすることを強くお勧めします。
2回ほど停車時にオーバーフローをやらかしました。
今後は燃料フィルターも数百円程度なので、装着してフロートバルブのゴミ対策をしておこうと考えています。
(純正のキャブではオーバーフローなんかしないので、そもそもゴミなんか行っていない気もしますが…)

オーバーフローパイプの取り回しも気を付けてください。
オーバーフローパイプが上を向いていたりして正常に機能していないと、
オーバーフローしたガソリンがエンジンの中のオイルタンクに入ってしまい、エンジンオイルを全部交換する羽目になったりします。
これ、1度だけ経験したのですが、普通はエンジンの中にガソリンが入り込むことなど無いので、
半日くらいキャブレターを外したり戻したりして原因追及が大変でした。
冷却状態ではエンジンが掛かるものの、2~3分走るとゴボゴボと濃いような症状が出て、しまいに掛からなくなるという現象が出ます。オイルタンクに混ざったガソリンが、エンジンが温まることにより気化して、混合気が濃くなったものと思われます。

また、上記装着は専用パーツではない故のDIYですので、それらの工作ミスのリスクはあります。
例えばスロットルケーブルのタイコが外れてエンジンの中に入ったりしたら一発でエンジンブローします。
また、キャブレターセッティングの基礎知識も必須となります。
メインジェット、パイロットジェットといった用語が聞き慣れない場合は、
少し検索してキャブレターの基礎知識を身に着けるのが先決です。
仕組み自体はそれほど難しいものではありません。

装着は自己責任でお願いいたします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
キャブレター換装自体は、モンキーやゴリラといった4STミニでは極めて一般的なカスタムです。
失敗した時のリスクはありますが、ピッタリとセッティングが出て
純正とは明らかに違う強烈な加速感を得られた時の楽しさは格別です。

ちょっと敷居は高いですが、興味があればぜひお試しください。

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